●気まぐれと偶然
6月のある土曜日の話。
丁度その頃、俺は超越神の育成に着手しだしていて、その時は探検15Lvのキャップ解除クエをしていて雪原の片隅でMTが開くのを待っていた。
エリン時刻で22:00くらいから待っていたので、途中からは画面を見ていなかったのだが、そろそろかと思って画面に視線を戻すと、見知らぬ1人のピザデブがいた。
ジャイの服装で判断というわけにはいかないが、それはもうどっからどう見ても初心者さんだった。肉だかなんだか食いすぎたんだろう。見事なほどにピザってくれていた。
MTが開いたので、むくりと立ち上がる。
とっとと戻ってクエ報告してまた柱オンラインだな。
そんなことを考えながらMTのウィンドウを開き、移動先を選ぼうとして不意にチャットログに現れる文字列に気づく。
「埋まってるんじゃなかったんだ!」
意味不明な言葉だった。
その意味不明っぷりが気になったのか、いつもならそのまま移動してしまうのだが、何故だかその時は手を止めていた。
「??」
そうチャットで返す。その時はよくわかっていなかったからだ。どうやら雪の上に座っているこちらが、位置の関係か埋まっているように見えていたらしい。
「すごい、名前ですね!www」
恥ずかしくて逃げ出したくなった。
一度返事をしてしまった手前、成り行きで彼としばらく話すことに。
彼は案の定、始めたばかりの初心者さんだった。なんでも、友達がやっていたので手を出してみたとのこと。人間キャラをまだ作らず、のっけからジャイアントカードを買ってジャイを作ったらしい。アシスタントカードのことを話すと、ものすごくがっかりしていた。
彼はいわゆる教えて君だった。
お金はどうやれば貯まるのか、経験値はどうやって稼ぐのか、どうやったら痩せられるのか、武器は何がいいのか、始めてから全然人に会ってないけど賑やかな街はどこなのか・・・
うんざりするぐらいの質問の嵐だった。
「ググレカス」
と、思わず吐きそうになったが、人懐っこいというか、エリンに降り立って色々なものが新鮮に見えて輝いているのだろう。質問こそしてくるが、そいつは困っているわけではなく、純粋に今を楽しんでいたのた。そんな姿に、かつての自分を見た俺は、珍しく初心者指導なんてものをしてやった。
アルバイトと祝福Pの存在、ディフェンス戦術でのオオカミ(コヨーテ)との戦い方や+1打のこと、そして木の実ダイエット。
クエストついでにラノ地域に出向いて探検で宝探し。
さすがにいいものなんて出てこなかった。それなりといえばそれなりだが、ダチョウESくらいのもんだ。
せっかくだから、まだ武器がアイリしかない彼に、デッドリーの貼り付け時に失敗し、あまつさえネリスだかニッカのバカに立て続けに2回削られ残り耐久が10だかになっていたデッドリーつきのスパイクドナックルに、さっき手に入れたダチョウを張り付けてくれてやった。どうせ素材としての価値しかないものだ。
もっとも、初心者にはデッドリーは発動しないだろうし、下手したらクリ発動よりバランス低下が先に発動してしまいそうなもんだが。
彼はお礼にと、さっきアルバイトで手に入れた祝Pを4つ全部ウィンドウに出した。気持ちだけ受け取って、ナックルを押し付けた。
そのナックルを持って、最後にバルー遺跡に乗り込んだ。
よほどうれしかったのか、そのナックルでがつがつ攻めていく彼だったが、ナックルの使いずらさに困惑しているようだった。
ナックルの戦闘モードでの位置ずれバグの問題もあり、さすがに初心者にナックルはまずかったなと思い、
「あげておいてなんだけど、はっきり言って実戦向きの武器じゃないんだよそれ。でも、使いこなすと爽快なんだぜ。9連撃ができるのはナックルだけだからね」
と、そこはかとなく無理してそれで戦わなくてもいいんだぞと伝えた。
彼は、
「カッコイイッスネ!www使いこなしてみせる!!ww」
と、相変わらず草はやしまくりで返してきた。
そうして彼と出会ってから4時間くらいが経過したころ、彼は夕食の時間なので落ちることとなった。
別れを告げて、俺も飯を食べるためログアウトした。
別れ際はそれはもう、えらくあっさりしたものだった。
普段は根っからのソロプレイヤーなオレが、こんなことに付き合うのは珍しすぎる気まぐれだ。
FL登録のことも知らないのか、相手からもその話も出てこなかったし、オレは1度だけ会ったような人に自分からはFL登録しようとはしない。単にビビりなだけだが、2,3回と会ったり、ブログで知っている人でなければまず自分からは動かない。
まあ、狭いこの世界。縁があれば、またどこかで会えるだろう。
それから約半年。
久々にinしたマビノギ。
すっかり彼のことも忘れかけていた今日、ダンバードンで遊ぶ彼を見かけた。もっとも、こっちはメインキャラだから彼にはわからないだろうし、彼もあの名前をもう忘れているんじゃなかろうか。ここ見られてたらバレそうなもんだが。
ギルドに入って、仲間もできて、何やら楽しそうに喋っていた。PvPでぼかすか殴り合うのを傍目に見て、元気でやっているようだと、少し微笑ましく思った。
メインのアドバンスドアイテム回収を終えて、とっととCCしようとしたのだが・・・
ふと、気になって右クリック。
・・・思うことはあった。
だが、半年ぶりなんて今更すぎるだろう。
ビビりな俺は、声をかけることはせずキャラセレ画面に戻った。
にやりとしていたと思う。1人でPCの前でにやける姿はかなりキモイかもしれんが、それくらいそんなしょうもないことに感動していた。
ただの偶然かもしれない。でも見間違えではなかったと思う。
ふと、PvPで使っていた彼の持っている武器が気になり、覗いたのだが・・・
耐久6、
彼の両手に握られた5段改造済みのナックルには、ダチョウとデッドリーのESがついていた。
コメント
くそっさすがまおうカラクレあなどれない!
ちょっと最後にブワッときちゃったじゃないかよう・゜・(ノД`)・゜・
Posted by: ふぇんね | 2007年11月23日 00:49
これはいい話!!
きっと彼は初めて出会った神様の事を今でも忘れていない
まじで感動したです(´;ω;`)
Posted by: ハヅキアンジ | 2007年11月23日 11:07
ううう、とってもいい話だー;;
教えてクンには一度だけ私も会ったことがあります。
無難に質問に答えて、(迷子になってた子だったから)
目的地まで送ってお別れしたけど
人を見かけで判断しちゃいけないんだと学んだ・・・!!
Posted by: 深桜 | 2007年11月23日 11:10
なんかイイ話ですね(^^
っていうか神様からトレーニングしてもらったなんて・・!
Posted by: メイハー | 2007年11月23日 11:10
ゲーッ!普通にいい話だったー!?
ひさびさにマビ内での泣ける話です。
偶然は必然、ですな。
Posted by: れんげ | 2007年11月24日 00:48
こんぶさん>
ふふふ・・・
この唐紅、ただのギャクキャラなバトルバカではないのだよ・・・!!
アンジさん>
どうでしょうねぇ。
名前のインパクトはあると思うのですがねw
深桜さん>
自分で調べようともしないのは論外・・・
とは思いつつ、質問ってのもまた、1つのコミュニケーションの手段ですし、単に話がしたいから質問ばかりってのもあるやもしれませんしね。
1度の邂逅でなkなか人は判断できませんね。
メイハーさん>
おいらも、ゲームを始めた当時、巨大黒狼にてこずっていたところを、ある人に助けられ、戦い方を教わったものです。
その時の師匠とはそれっきりですが、受けた施しを、また自分が別の人に行うというのもまた人の世の常というヤツなのでしょう。
れんげさん>
ちょwww
「ゲーッ!」は、ないでしょよ!!「ゲーッ!」はっ!
Posted by: 唐紅 | 2007年11月24日 01:51
こんばんわー。
最後の一行でホロリ(・_;)ときましたよ。
厚かましい初心者にはうんざりすることも多々ありますが、その初心者がマビに溶け込むくらいにまで育ってくれると、なんだかホッとくるものがありますよね(´∀`)
Posted by: タンタシオン | 2007年11月24日 02:07
土曜なのに仕事なきのっぴーです(ToT)
が、朝一からブログ巡回中w(ぇ
なんか朝からいいもん読ませて頂きました。
読みながら顔はにやけていましたが、最後のくだりにはじーんと来ちゃいましたよ!
私も初心者時代、親切にしてもらったことは、いまだに覚えております。
特にMMO初心者だったりするとなおさらでしょうねぇ。
Posted by: きのっぴー | 2007年11月24日 09:18
タンタシオンさん>
こんばんは!
久しぶりに見かけたその人が元気でゲームを続けてるってだけでも、けっこう感激ものですね。
かつての薄い接点だけでも、なんというか見かけた際に思わずにんまりしてしまいます。
きのっぴーさん>
お仕事お疲れ様です。
なんだかんだでゲームを続けるのって、最初の方に出会えた人たちに起因していると思うんですよね。ソロプレイヤー色が強いおいらでもそうだから、きっともっと交友を大事にする人はその辺のウェイトって大きいと思います。
Posted by: 唐紅 | 2007年11月25日 02:16
( ´△`)アァ~普通にホロリときた~。
きっとその人ずっと覚えてるですよ~。
私も最初にIBカウンタを教えてくれたひと、今でも覚えてるもの。
もう引退しちゃったのか、最近は見かけないけれど。。。
色々あるけど、やっぱり人との交流っていいものだよね。
Posted by: 勇吹 | 2007年11月25日 12:43
初心者時代の
ふと、お世話になったこととか
通りすがりのヒールとか
頂いた装備とか(今でも大事にとってある)
記憶の中の大事な思い出になっていますね。
PC前でニヤリとする唐紅さんが格好良いな。
Posted by: ELH | 2007年11月26日 09:22
勇吹さん>
ですかねぇ。
確かに自分も世話になった憧れだった人は、今でも忘れちゃいないです。
接点もないし、ここ数カ月は見かけたこともないのでもう引退なさっているのかもしれませんが。
Hさん>
そですねー、ぼくも大事なもので銀行1キャラ分くらい思い出の品があるのですが、頂いたものは捨てずにたまっていく一方ですね。
ああ、ちなみに、このシーンは見られてないですが、コンドルの時にPC前でニヤリとしているところをリアル相方に見つかった時は、
・・・素で引かれました。
Posted by: 唐紅 | 2007年11月26日 19:10
ここにコメントを入力はじめまして!マリーサーバーで生活してるのるらです。
記事読ませていただきました。
すごくいいお話ですね!
最後の一行にほろりときてしまいました(ノ_<。)
ジャイアントの方も扱い方をマスターしようと頑張ったんでしょうね!
きっと唐紅さんとのことがその人にはおっきな出来事だったんですね!
戦い方教えてもらったり、Dに連れて行ってもらったり
お金のない私にお洋服や武器をくれたり
色んな人に支えられつつマビをプレイしてるなぁと思う
今日この頃です。
また寄らせていただきます!
Posted by: のるら | 2007年11月30日 15:44
のるらさん>
SNSでの方もありがとうございましたですよ!
人と人とが繋がるゲームですからね。
おいらのようなソロばっかりなプレイヤーでもこういうことがあるのだから、きっともっと社交的な方には、表に出ていないだけでこういったことがいろいろとあるのだと思います。
今後ともよろしくお願いします!
Posted by: 唐紅 | 2007年12月02日 12:53